
デュアック配合ゲル
デュアック配合ゲル
デュアック配合ゲルはベピオ(有効成分:過酸化ベンゾイル)と抗菌薬であるダラシン(有効成分:クリンダマイシン)が混ざっている合剤です。過酸化ベンゾイルのもつ角層剥離作用(ピーリング作用)と抗菌作用に加え、抗菌薬(抗生物質)であるクリンダマイシンが配合されたことにより、過酸化ベンゾイル単体よりも抗菌作用が強くなっていることが特徴です。過酸化ベンゾイルについてはベピオゲルやベピオローションという商品名でニキビ治療の基本として使用されていますが、ダラシン(有効成分:クリンダマイシン)に関してもダラシンTゲル、ダラシンTローションという商品名で処方されています。そのため、デュアック配合ゲルではこれら2種類の外用薬の効果を一度の塗布でまかなえるという点がメリットとなります。一方で、ダラシンなどの抗菌薬は長期間連続して使用することで耐性菌が出現する可能性がありますので、基本的には3か月を限度として、それ以降は別の外用薬に切り替えることがおすすめされます。
1日1回寝る前の洗顔後にニキビのできやすいところ全体に面で塗り広げます。しばしば塗り方を誤っている方の例として、赤ニキビだけにポイントで塗っている場合があります。ニキビの初期はコメド(白ニキビ)から始まりますので、デュアック配合ゲルの毛穴つまりを改善させる作用から考えると、コメドやコメドになる手前の状態(毛穴は詰まっていても、まだ皮脂が毛穴の中でたまり始めたばかりで見た目的にはぽつぽつしていない状態=マイクロコメドといいます)といった赤ニキビになる前の状態から予防的に治療をする必要がありますので、基本的には面で塗布するようなお薬になります。
また、デュアック配合ゲルの特性上、皮膚が乾燥しやすくなりますので薬を塗る前に化粧水や乳液で保湿をしてから使用するようにしましょう。乾燥が緩和されるとデュアック配合ゲルによる治療が続けやすくなります。
化粧水や乳液はノンコメドジェニックテスト済みと記載のある商品を使用するのがおすすめです。ノンコメドジェニックテスト済みとは、ニキビの初期段階であるコメドができにくい成分で作られていることが検査で確認されていることを意味します。このノンコメドジェニックテスト済みの記載がない化粧品では、毛穴詰まりを引き起こしコメドができやすい原因となる場合がありますので、注意しましょう。
顔全体に塗る場合は人差し指の指先から第一関節までチューブから絞り出した量を塗布します。これを1FTU(フィンガーチップユニット)といい、1FTUはおよそ大人の手のひら2枚分の面積に相当します。ただし、デュアック配合ゲルの場合は特に使い始めの時期に刺激感(乾燥、皮むけ、ヒリヒリ、赤み)を感じることもあるので、最初は1/8FTU(米粒大)や1/4FTU(あずき大)などの少量を、おでこや頬、顎などのうち1か所狭い範囲から塗り始めることが推奨されています。数日から1週間かけて問題がなければ少しずつ塗る量と範囲を増やしていき、最終的には1FTUの量を顔全体に塗ることを目指していくとよいでしょう。
デュアック配合ゲルを使い始めてから3か月以内に症状が改善しない場合は使用を中止することとされています。この場合には症状に対して薬の効果が不十分である可能性がありますので、ベピオゲル、ベピオローション、ディフェリンゲル、エピデュオゲルなど、他の毛穴の詰まりを改善させる外用薬に切り替えることも検討されます。あるいは薬の塗り方が適切でないケースもありますので、効果を実感できない場合には正しく塗れているかあらためて確認してみましょう。
一方で、デュアック配合ゲルによる刺激症状などが問題なく使用できていて、良い効果がみられている状況でも、デュアック配合ゲルには抗菌薬であるダラシンが含まれているため、長期間連続して使用すると耐性菌が出現する可能性がでてきてしまいます。そのため、デュアック配合ゲルの一度の連続使用は基本的には3か月程度としておくことがおすすめされます。デュアック配合ゲルを使用していない時期はベピオゲル、ベピオローション、ディフェリンゲル、エピデュオゲルなど、他の毛穴の詰まりを改善させる外用薬に切り替えることが可能です。
デュアック配合ゲルは使い始めてから2週間以内に赤み、ヒリヒリ、皮むけ、乾燥などの刺激症状があらわれることが多いです。しかし、これらの刺激症状は通常は一時的なもので、使い続けていくうちに少しずつ軽減されていきます。そのため、使い始めの時期は少量を狭い範囲から塗り、徐々に慣らすように使っていくことがおすすめされますが、それでも刺激症状が強くみられ、使い続けるのが難しい場合は早めに医師に相談するようにしましょう。
また、デュアック配合ゲルでは刺激症状とは別に、稀にアレルギー性のかぶれ(アレルギー性接触皮膚炎)がおきることがあります。そのため、使い始めた時期は問題がなくても使用を続けているうちにかぶれが強くでてきた場合、強い腫れを伴う赤みやかゆみ、ジクジクとした発疹がみられた場合は、いったん使用を中止して医師にご相談ください。
デュアック配合ゲルは、顔以外にも胸や背中などのニキビができやすい部位にも使用することができます。
現在妊娠されている方、妊娠している可能性のある方のデュアック配合ゲルの使用に関しては、添付文書上は治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること、と記載されています。そのため妊娠中の方、妊娠している可能性のある方は医師にご相談いただいたうえで、個々のケースに応じて慎重に使用を相談させていただきます。
添付文書においては授乳中のデュアック配合ゲルの使用は、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討することとされています。そのため、基本的にはデュアック配合ゲルの授乳中の使用については、可能な限り控えたほうがよいと考えられます。やむを得ず使用される場合は医師にご相談ください。
デュアック配合ゲルは12歳未満の小児を対象とした臨床試験は行われていませんので、原則は12歳以上から使用可能です。
デュアック配合ゲルに含まれる過酸化ベンゾイルには漂白作用があります。そのため薬剤が髪や衣料、家具、絨毯などに触れると脱色する可能性がありますので、付着しないよう注意しましょう。
直射日光や凍結(0℃以下)を避けて、冷蔵庫(2~8℃)で保管してください。開封前であれば室温25℃で3か月間、室温30℃で1か月間安定性が確認できたというデータもありますので、薬局から持ち帰る間や、旅行に持っていくなどの期間であれば、基本的には問題にならないと考えられます。
デュアック配合ゲルを使用した後は必ず手を洗うようにしましょう。
切り傷やすり傷、湿疹のある部位への使用は避けるようにしましょう。
眼や唇、鼻の粘膜などには塗らずに避けるようにしましょう。特に眼の周囲に使用する場合は眼に入らないように注意して使用し、もしも眼に入った場合は直ちに水で洗い流すようにしましょう。
デュアック配合ゲルは刺激感のある外用薬のため、他の刺激性のある外用薬と併用する場合は、注意して使用するようにしましょう。
デュアック配合ゲルを塗布した部位は日光や日焼けランプなどで過度に紫外線にあたると刺激症状が悪化する場合がありますので避けるようにしましょう。
デュアック配合ゲルの薬価は131.2 円/gです。デュアック配合ゲルは1本10gの規格がありますので、3割負担の患者様の場合、1本393円になります。
*薬剤費のみの価格です。
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