
ディフェリンゲル
ディフェリンゲル
ディフェリンゲル0.1%(有効成分:アダパレン)はレチノイド様作用があり、ビタミンAに似た成分から作られています。レチノイド様作用は皮膚の角化(皮膚表面をつくる細胞が生まれてから、最も表層の角層になるまでの過程)を抑える方向に調節する働きをもっているため、毛穴の出口が広がりやすくなり詰まりを改善させます。特にコメド(白ニキビ、黒ニキビ)への効果が高く、赤ニキビに対しても初期のうちに使用することで炎症をおこした赤ニキビを減らし、炎症の悪化を防ぐことも期待できます。
即効性はありませんが、早い方であれば2~3週間ほどで効果を実感し始め、通常は1~2か月使い続けることで効果を実感できるようになります。
また、ディフェリンゲルの特徴として、アダパレンの持つレチノイド様作用は色素沈着に対しても効果が期待できます。そのためニキビ跡としてのくすみ、色素沈着がある場合には、それらの部分にもディフェリンゲルを塗布していただいても大丈夫です。
1日1回寝る前の洗顔後にニキビのできやすいところ全体に面で塗り広げます。しばしば塗り方を誤っている方の例として、赤ニキビだけにポイントで塗っている場合があります。ニキビの初期はコメド(白ニキビ)から始まりますので、ディフェリンゲルの毛穴つまりを改善させる作用から考えると、コメドやコメドになる手前の状態(毛穴は詰まっていても、まだ皮脂が毛穴の中でたまり始めたばかりで見た目的にはぽつぽつしていない状態=マイクロコメドといいます)といった赤ニキビになる前の状態から予防的に治療をする必要がありますので、基本的には面で塗布するようなお薬になります。
また、ディフェリンゲルの特性上、皮膚が乾燥しやすくなりますので薬を塗る前に化粧水や乳液で保湿をしてから使用するようにしましょう。乾燥が緩和されるとディフェリンゲルによる治療が続けやすくなります。
化粧水や乳液はノンコメドジェニックテスト済みと記載のある商品を使用するのがおすすめです。ノンコメドジェニックテスト済みとは、ニキビの初期段階であるコメドができにくい成分で作られていることが検査で確認されていることを意味します。このノンコメドジェニックテスト済みの記載がない化粧品では、毛穴詰まりを引き起こしコメドができやすい原因となる場合がありますので、注意しましょう。
顔全体に塗る場合は人差し指の指先から第一関節までチューブから絞り出した量を塗布します。これを1FTU(フィンガーチップユニット)といい、1FTUはおよそ大人の手のひら2枚分の面積に相当します。ただし、ディフェリンゲルの場合は特に使い始めの時期に刺激感(乾燥、皮むけ、ヒリヒリ、赤み)を感じることもあるので、最初は1/8FTU(米粒大)や1/4FTU(あずき大)などの少量を、おでこや頬、顎などのうち1か所狭い範囲から塗り始めることが推奨されています。数日から1週間かけて問題がなければ少しずつ塗る量と範囲を増やしていき、まずは3か月間の使用を目標に塗り続けてみましょう。最終的には1FTUの量を顔全体に塗ることを目指していくとよいでしょう。
ディフェリンゲルを使い始めてから1~3か月以内に治療効果があり、赤みや乾燥などの刺激症状も悪化せずに落ち着いた状態で使用できる場合は、基本的には3か月以上の長期間使用を継続していても問題はありません。ディフェリンゲルを使用していったん症状が改善しても、そこで中止してしまうと少しずつニキビができやすい状態に戻ってしまう場合が多いですので、ニキビができやすい年齢、時期はたとえ症状がよくなった後も継続して使用することをおすすめします。長く継続することでニキビができにくい肌質に少しずつ変えていくことができます。
一方で、ディフェリンゲルを使い始めてから3か月以内に症状が改善しない場合は使用を中止することとされています。この場合には症状に対して薬の効果が不十分である可能性がありますので、ベピオゲル、ベピオローションやデュアック配合ゲル、エピデュオゲルなど、他の毛穴の詰まりを改善させる外用薬に切り替えることも検討されます。あるいは薬の塗り方が適切でないケースもありますので、効果を実感できない場合には正しく塗れているかあらためて確認してみましょう。
ディフェリンゲルは使い始めてから2週間以内に赤み、ヒリヒリ、皮むけ、乾燥などの刺激症状があらわれることが多いです。しかし、これらの刺激症状は通常は一時的なもので、使い続けていくうちに少しずつ軽減されていきます。そのため、使い始めの時期は少量を狭い範囲から塗り、徐々に慣らすように使っていくことがおすすめされますが、それでも刺激症状が強くみられ、使い続けるのが難しい場合は早めに医師に相談するようにしましょう。
ディフェリンゲルは顔にのみ使用することができ、顔以外の胸や背中といった部位については薬の有効性、安全性が確立していないため使用することはできません。
現在妊娠されている方、妊娠している可能性のある方はディフェリンゲルの使用は禁忌となっています。理由として、動物実験において経皮投与(ラット、ウサギ)で奇形の発生はみられていませんが、過剰肋骨の発生頻度の増加が報告されています。また、経口投与(ラット、ウサギ)で催奇形性が報告されています。そのため、ディフェリンゲルを使用中に妊娠した場合、あるいは妊娠が予想される場合には医師に伝えるようにしましょう。
動物実験において、経口または静脈内投与(ラット)で乳汁中への移行が報告されています。そのため、ディフェリンゲルを使用する際は治療によるメリットと母乳栄養のメリットを考慮したうえで、授乳の継続または中止を検討することとされています。そのため、基本的には授乳中はディフェリンゲルを使用しないことが望ましいですが、やむを得ず使用する場合は授乳を控えることが推奨されます。
ディフェリンゲルは12歳未満の小児を対象とした臨床試験は行われていませんので、原則は12歳以上から使用可能です。
切り傷やすり傷、湿疹のある部位への使用は避けるようにしましょう。
眼や唇、鼻の粘膜などには塗らずに避けるようにしましょう。特に眼の周囲に使用する場合は眼に入らないように注意して使用し、もしも眼に入った場合は直ちに水で洗い流すようにしましょう。
ディフェリンゲルは刺激感のある外用薬のため、他の刺激性のある外用薬と併用する場合は、注意して使用するようにしましょう。
ディフェリンゲルを塗布した部位は日光や日焼けランプなどで過度に紫外線にあたると刺激症状が悪化する場合がありますので避けるようにしましょう。
ディフェリンゲルの薬価は先発品が58.2円/g、後発品(アダパレンゲル0.1%)が21.8円/gです。ディフェリンゲル0.1%製剤は1本15gのため、3割負担の患者様の場合、1本あたり先発品 262円/本、後発品 98円/本となります。
*薬剤費のみの価格です。
ディフェリンとトレチノインの違いについて
https://differin-gel.info/mechanism/
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