
コレクチム軟膏
コレクチム軟膏
2020年4月にコレクチム軟膏0.5%(成人用。生後6か月以上の小児も症状に応じて使用可能)が発売され、2021年5月にコレクチム軟膏0.25%(小児用。生後6か月から使用可能)が発売されました。
*低出生体重児、新生児及び6か月未満の小児を対象とした臨床試験は実施していないため、6か月未満の小児には使用することはできません。
プロトピック軟膏以来、約20年ぶりのアトピー性皮膚炎治薬として使用されています。最近の研究からアトピー性皮膚炎では、皮膚の炎症や痒みなどを引き起こす信号を免疫細胞に送るJAK/STAT経路(ジャック/スタット経路)と呼ばれる仕組みが関係していることがわかってきました。コレクチム軟膏はこの経路を阻害する作用をもつJAK阻害薬(ジャック阻害薬)という薬です。詳しい作用の仕方については販売元の鳥居薬品株式会社のホームページに分かりやすく記載されていますので、興味のあるかたはご覧ください。
ステロイド外用薬に比べて皮膚炎を鎮静化させる作用は弱い一方で、副作用が少ないため寛解維持療法に向いています。
コレクチム軟膏の良い点としては、ステロイド外用薬を長期間使用することで起きうる皮膚萎縮(皮膚が薄くなる)、毛細血管拡張(皮膚が赤みを帯びてくる)、多毛(毛が濃くなる)、酒さ様皮膚炎(赤ら顔、ぽつぽつの症状)などの副作用や、プロトピック軟膏で頻度の多い外用初期の刺激感がないため、副作用の点から非常に使いやすい軟膏ということです。
*コレクチム軟膏にも頻度はそれほど多くないものの、ニキビやヘルペスなどの皮膚の感染症の副作用が起こる場合があります。
コレクチム軟膏の具体的な使用方法ですが、ステロイド外用薬のようなある程度強い皮膚炎でもしっかりと切れ味よく抑える効果はコレクチム軟膏は持っていません。そのため、アトピー性皮膚炎の皮膚炎、痒みが強い場合には、まずは適切な強さのステロイド外用薬を一定期間塗って皮膚炎を改善させた後から、コレクチム軟膏に切り替える方法を取ることが多いです。コレクチム軟膏は副作用が少ない点から安全に長期的に使えるとされているため、皮膚炎が落ち着いた後も定期的に塗ることで良い状態の皮膚を長く維持できる可能性があります。
大人はコレクチム軟膏0.5%を1日2回、患部に適量を塗ります。
1回あたりの塗布量は5gまでです。
小児はコレクチム軟膏0.25%を1日2回、患部に適量を塗ります。
小児でも症状に応じてコレクチム軟膏0.5%を1日2回塗布することもあり、0.5%製剤で症状が改善した場合は、0.25%製剤に切り替えることがあります。
1回に塗る量の上限は5g(5gチューブ1本、または10gチューブ1/2本)もしくは全身の30%までですが、体格を考慮しなければなりません。
*6か月以上2歳未満の小児の臨床試験では、1回に塗る量が2.5g(5gチューブ1/2本、または10gチューブ1/4本)までしか使用経験がないため、1回に塗る量には注意してください。
軟膏の塗布量の目安としてFTU(フィンガーティップユニット)があります。
これは大人の人差し指の指先から第一関節まで軟膏をチューブから絞り出すと約0.5gとなり、大人の手のひら約2枚分の面積に塗ることができるというものです。
例えば、大人のかたが顔と首全体にコレクチム軟膏を塗る場合に、1週間(7日間)の適正量は5gチューブ3本と約1/2本、10gチューブ1本と約3/4本となります。
以下の表に体の部位ごとの1回に塗る量の目安が大人、小児でそれぞれ記載されていますので、参考にしてください。
また、その他の塗り方のポイントには次のようなものがあります。塗る量が少ないとなかなか効果が出にくいためFTUも参考に十分な量を塗るようにしましょう。
・コレクチム軟膏を指でちょんちょんと小分けにして体につけ、手のひらで伸ばすように広げます。すり込んだり、うすく塗ると、患部に十分届きません。
・アトピー性皮膚炎の皮膚では皮膚バリア機能が低下し、乾燥しているためカサカサしています。コレクチム軟膏を皮膚を覆うようにたっぷり塗ることで患部にまんべんなく薬が浸透し、薬の効果を発揮できます。また、たっぷり塗ることで軟膏が皮膚を守る役割も果たします。
・目安としてはFTUとともにティッシュが皮膚につく、または少しテカりが残る程度に塗るのがコツです。
コレクチム軟膏0.5%で治療を開始してから4週間以内に症状が改善しない場合には、いったん使用を中止して医師に相談してください。
コレクチム軟膏を使用して症状が改善した場合には、医師が継続投与の必要性について検討します。長期間連続で外用することでニキビを引き起こす副作用が起こる場合もありますので、漫然と長期間使用しないようにしましょう。
コレクチム軟膏の使用が長期間となる場合は使用する頻度を週に2, 3日にするなど休薬しながら続けるようにしましょう。
コレクチムの添付文書によると、
毛包炎(2.4%、毛穴の炎症)、ニキビ(2%)のほか、稀ではあるものの塗布した部分の刺激感(ヒリヒリや痒みなど)やヘルペス感染も報告されています。コレクチム軟膏はアトピー性皮膚炎の炎症に関わる免疫細胞の活性を抑えますが、同時に感染症に対する免疫細胞の働きも抑制されてしまうと上記のような副作用を起こすことがあります。
使用中に気になる症状がある場合は医師にご相談ください。
・コレクチムの成分にアレルギーを起こしたことがある方は使用できません。
・ニキビやヘルペス、とびひなど、皮膚の感染を起こしている部位は避けて使用してください。
・粘膜やジクジクした部位(潰瘍や局面を形成するびらん)への使用は避けてください。
・コレクチム軟膏の眼の周りへの塗布は問題ありませんが、眼に入らないよう塗布をし、万一眼に入った場合は、直ちに水で洗い流してください。
・妊娠されている方、妊娠している可能性のある方は、治療によるメリットが危険性を上回る場合に使用できることとなっていますので、使用については医師にご相談ください。
・授乳中の方が使用する場合は、授乳を控えましょう。(ラットによる動物実験で乳汁中に移行することが報告されています)
・有効期間は36か月です。使用期限を過ぎたものは使用しないでください。
コレクチム軟膏0.5%(5gチューブ) 217円
コレクチム軟膏0.5%(10gチューブ) 434円
コレクチム軟膏0.25%(5gチューブ) 208円
*コレクチム軟膏0.25%には10gチューブの規格はありません。
*コレクチム軟膏には後発医薬品はありません。
*いずれも公的保険が適用された3割負担の価格を記載しています。
*薬剤費のみの価格です。
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