
エピデュオゲル
エピデュオゲル
エピデュオゲルはベピオゲル(有効成分:過酸化ベンゾイル)とディフェリンゲル(有効成分:アダパレン)という2つの有効成分が配合された合剤です。そのため、ベピオゲル、ディフェリンゲルそれぞれ単剤で使用するよりも効果が高く、毛穴の詰まりを改善させる効果としては保険診療で使用できる外用薬のなかで最も高い効果があるお薬です。一方で、ベピオゲルもディフェリンゲルも塗布に伴う刺激症状(乾燥、皮むけ、ヒリヒリ、赤み)が出やすいお薬のため、エピデュオゲルではそれらの刺激症状がおこる頻度も単剤に比べてより高くなっています。使い始める際には少量を狭い範囲から塗り始めるなどの注意が必要になります。
エピデュオゲルは高い効果が期待できる分、刺激症状の頻度も高いですので、通常はベピオゲルやディフェリンゲルなどの単剤からニキビ治療を開始することが添付文書においても推奨されています。
1日1回夜の洗顔後にニキビのできやすいところ全体に面で塗り広げます。しばしば塗り方を誤っている方の例として、赤ニキビだけにポイントで塗っている場合があります。ニキビの初期はコメド(白ニキビ)から始まりますので、エピデュオゲルの毛穴つまりを改善させる作用から考えると、コメドやコメドになる手前の状態(毛穴は詰まっていても、まだ皮脂が毛穴の中でたまり始めたばかりで見た目的にはぽつぽつしていない状態=マイクロコメドといいます)といった赤ニキビになる前の状態から予防的に治療をする必要がありますので、基本的には面で塗布するようなお薬になります。
また、エピデュオゲルの特性上、皮膚がかなり乾燥しやすくなりますので薬を塗る前に化粧水や乳液で保湿をしてから使用するようにしましょう。乾燥が緩和されるとエピデュオゲルによる治療が続けやすくなります。
化粧水や乳液はノンコメドジェニックテスト済みと記載のある商品を使用するのがおすすめです。ノンコメドジェニックテスト済みとは、ニキビの初期段階であるコメドができにくい成分で作られていることが検査で確認されていることを意味します。このノンコメドジェニックテスト済みの記載がない化粧品では、毛穴詰まりを引き起こしコメドができやすい原因となる場合がありますので、注意しましょう。
顔全体に塗る場合は人差し指の指先から第一関節までチューブから絞り出した量を塗布します。これを1FTU(フィンガーチップユニット)といい、1FTUはおよそ大人の手のひら2枚分の面積に相当します。ただし、エピデュオゲルの場合は特に使い始めの時期に刺激感(乾燥、皮むけ、ヒリヒリ、赤み)を感じることもあるので、最初は1/8FTU(米粒大)や1/4FTU(あずき大)などの少量を、おでこや頬、顎などのうち1か所狭い範囲から塗り始めることが推奨されています。数日から1週間かけて問題がなければ少しずつ塗る量と範囲を増やしていき、最終的には1FTUの量を顔全体に塗ることを目指していくとよいでしょう。
エピデュオゲルを使い始めてから1~3か月以内に治療効果があり、赤みや乾燥などの刺激症状も悪化せずに落ち着いた状態で使用できる場合は、基本的には3か月以上の長期間使用を継続していても問題はありません。エピデュオゲルを使用していったん症状が改善しても、そこで中止してしまうと少しずつニキビができやすい状態に戻ってしまう場合が多いですので、ニキビができやすい年齢、時期はたとえ症状がよくなった後も継続して使用することをおすすめします。長く継続することでニキビができにくい肌質に少しずつ変えていくことができます。
一方で、エピデュオゲルを使い始めてから3か月以内に症状が改善しない場合は使用を中止することとされています。この場合には症状に対して薬の効果が不十分である可能性がありますので、イソトレチノインの内服など、自費診療も含めた他治療選択肢を検討する場合があります。あるいは、薬の塗り方が適切でないケースもありますので、効果を実感できない場合には正しく塗れているかあらためて確認してみましょう。
エピデュオゲルは使い始めてから2週間以内に赤み、ヒリヒリ、皮むけ、乾燥などの刺激症状があらわれることが多いです。特に毛穴の詰まりを改善させる外用薬の中では最も高頻度に副作用があらわれます。しかし、これらの刺激症状は通常は一時的なもので、使い続けていくうちに少しずつ軽減されていきます。そのため、使い始めの時期は少量を狭い範囲から塗り、徐々に慣らすように使っていくことがおすすめされますが、それでも刺激症状が強くみられ、使い続けるのが難しい場合は早めに医師に相談するようにしましょう。
また、エピデュオゲルでは刺激症状とは別に、稀にアレルギー性のかぶれ(アレルギー性接触皮膚炎)がおきることがあります。そのため、使い始めた時期は問題がなくても使用を続けているうちにかぶれが強くでてきた場合、強い腫れを伴う赤みやかゆみ、ジクジクとした発疹がみられた場合は、いったん使用を中止して医師にご相談ください。
エピデュオゲルは顔にのみ使用することができ、顔以外の胸や背中といった部位については薬の有効性、安全性が確立していないため使用することはできません。
現在妊娠されている方、妊娠している可能性のある方はエピデュオゲルの使用は禁忌となっています。理由として、エピデュオゲルに含まれる有効成分のアダパレンにおいて、動物実験において経皮投与(ラット、ウサギ)で奇形の発生はみられていませんが、過剰肋骨の発生頻度の増加が報告されています。また、経口投与(ラット、ウサギ)で催奇形性が報告されています。そのため、エピデュオゲルを使用中に妊娠した場合、あるいは妊娠が予想される場合には医師に伝えるようにしましょう。
エピデュオゲルに含まれる有効成分のアダパレンに関して、動物実験において経口または静脈内投与(ラット)で乳汁中への移行が報告されています。そのため、エピデュオゲルを使用する際は治療によるメリットと母乳栄養のメリットを考慮したうえで、授乳の継続または中止を検討することとされています。そのため、基本的には授乳中はエピデュオゲルを使用しないことが望ましいですが、やむを得ず使用する場合は授乳を控えることが推奨されます。
エピデュオゲルは12歳未満の小児を対象とした臨床試験は行われていませんので、原則は12歳以上から使用可能です。
エピデュオゲルに含まれる有効成分の過酸化ベンゾイルには漂白作用があります。そのため薬剤が髪や衣料などに触れると脱色する可能性がありますので、付着しないよう注意しましょう。
直射日光や凍結(0℃以下)を避けて、室温環境で保管してください。
切り傷やすり傷、湿疹のある部位への使用は避けるようにしましょう。
眼や唇、鼻の粘膜などには塗らずに避けるようにしましょう。特に眼の周囲に使用する場合は眼に入らないように注意して使用し、もしも眼に入った場合は直ちに水で洗い流すようにしましょう。
エピデュオゲルを塗布した部位は日光や日焼けランプなどで過度に紫外線にあたると刺激症状が悪化する場合がありますので避けるようにしましょう。
エピデュオゲルの薬価は108.4 円/gです。エピデュオゲルは1本15gの規格がありますので、3割負担の患者様の場合、1本488円になります。
*薬剤費のみの価格です。
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