
皮脂欠乏性湿疹、アトピー性皮膚炎
皮脂欠乏性湿疹、アトピー性皮膚炎
赤ちゃんの皮膚は大人と比べてバリア機能が未熟であり、乾燥や皮膚炎をおこしやすい状態です。生後3か月頃まではお母さんの胎盤を通じて移行した性ホルモンの影響で皮脂量が多いため、乾燥による皮膚炎はあまり見られませんが、3か月以降は少しずつ皮脂の量が減ってくることで乾燥が目立ってきます。乾燥のみであればカサカサしたり白色の粉をふくように皮が剥けたりといった症状のみで、保湿剤で良くなることが多いです。しかし、乾燥した状態が長引いたり、擦れや摩擦といった刺激が加わることで次第に炎症が目立ってくると湿疹、皮膚炎をおこしてしまいます。そうなるとカサカサに加えて赤い斑点状の発疹やぽつぽつが混じるようになります。このような状態を皮脂欠乏性湿疹といい、保湿剤のみならずステロイド外用薬を使用することが多いです。
アトピー性皮膚炎については、年齢によって発疹の特徴や罹患する方の割合(有病率といいます)が異なってきます。赤ちゃんの時期から2歳未満までの乳児期のアトピー性皮膚炎の特徴は、最初に頬やおでこ、頭などに乾燥と赤みが出てきて、次第に耳やあご、口周りなど顔全体に広がってきます。その後、遅れて首や肘膝の内側にも皮膚炎がみられるようになります。また、乳児期のアトピー性皮膚炎は全年齢のアトピー性皮膚炎患者様の中でも一番有病率が高く、色々な報告がありますが6~32%の乳児がアトピー性皮膚炎を発症しているとされています。一方で、乳児期のアトピー性皮膚炎は年齢を重ねて成長するにつれて自然に症状がよくなってくるという特徴(自然寛解といいます)があり、こちらも色々な報告がありますが、1歳から1歳半以降から徐々に寛解しはじめ、小学生頃にはおよそ半数以上が自然寛解するとされています。
皮脂欠乏性湿疹とアトピー性皮膚炎はどちらも乾燥による湿疹、皮膚炎の状態と言えますが、アトピー性皮膚炎の場合は少なくとも2か月以上症状が続き、一部の患者様は幼稚園、小学校以降も乾燥と皮膚炎を繰り返すというように、慢性の皮膚疾患です。そのため、アトピー性皮膚炎においては、ある程度の期間経過をみたうえで診断をすることが大切となります。
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