
接触皮膚炎(よだれかぶれ、おむつかぶれ)
接触皮膚炎(よだれかぶれ、おむつかぶれ)
よだれかぶれもおむつかぶれも医学用語では刺激性接触皮膚炎といいます。すなわちよだれや尿、便などに含まれる刺激成分が原因で皮膚炎をおこすというものです。よだれかぶれは歯が生え始めてよだれが多くなる生後5-6か月頃からみられるようになります。特にその時期は離乳食も始まるため、食べこぼしで口周りについた食物や、それを拭き取る際の擦れる刺激なども皮膚炎の原因となります。予防としては、離乳食の前に口周りに保湿剤を塗ることで事前に保護したり、食べ終わった後も優しくよだれや食べこぼしを拭き取った後に保湿剤を塗るといった対応も大切です。また、食事以外でも頻繁によだれがある時は気付いた時に保湿剤を塗って皮膚とよだれの直接的な接触から保護するとよいでしょう。基本的にワセリンやプロペトといった保湿剤は何度塗っても副作用が出ることはありませんので、安心してご使用ください。
おむつかぶれの特徴としては、おむつの中は尿や便の影響もありとても湿気が多い環境です。そのため、皮膚がふやけてバリア機能が弱まることで皮膚炎がおこりやすくなっています。加えて、尿や便による刺激、おむつ自体がこすれる刺激、おむつ替えのときの拭き取り刺激などが原因でおむつかぶれがおこります。一方で、おむつかぶれに合併したり、間違えられやすい皮膚疾患におむつ部カンジダ症(乳児寄生菌紅斑とも言います)があります。カンジダは腸の中に常在するカビですが、温かく湿気の多い環境で増殖するため、おむつの中でも皮膚に感染、増殖して悪さをすることがあります。そのため、なかなか治らないおむつかぶれではカンジダの検査を行うこともあります。
カンジダは発疹がある部分の薄皮を採取して顕微鏡でカビを確認することで診断ができますが、発疹だけでもある程度見分けることができる場合があります。おむつ部カンジダ症ではしわの溝の中まで発疹があったり、赤いぽつぽつや膿をもったぽつぽつが混じって薄皮がむける部分があることなどが特徴です。一方でおむつかぶれの発疹はしわの溝の中まで発疹があることはあまりなく、一様に赤い斑点であり、悪化するとじくじくしたびらんという状態になることもあります。
おむつかぶれでは尿や便、汗などで刺激や湿気が多い環境が長い時間続くことが原因ですので、こまめにおむつをチェックして取り替えるようにしましょう。そして、新しいおむつを付ける前に、保湿剤などの軟膏で皮膚を保護するように塗ることも大切です。
軽症であればこまめなおむつチェックと保湿剤による保護のみでよくなることも多いですが、炎症が強い場合は一時的にステロイド外用薬などを使用することもあります。
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