
タコ
タコ
たこは医学用語では胼胝(べんち)、うおのめは鶏眼(けいがん)といい、どちらも足裏などの体重がかかったり、慢性的な圧迫が加わる場所にできる硬いできものです。擦れや圧迫などの刺激が慢性的に皮膚に加わると、皮膚の最も表層にある角層が反応性に分厚くなっていきます。これは刺激に対して皮膚が分厚くなって対抗しようとする自然な生体反応によるものです。この時、角層が皮膚の外側(外方向)に向かって分厚くなると「たこ」となり、皮膚の内側(内方向、深部方向)に向かって分厚くなると「うおのめ」といわれる状態になります。うおのめの場合は硬いできもの中央に芯があり、その部分を押したり、歩く時の圧迫などにより硬い芯が神経を刺激するために痛みを感じることが特徴です。一方で、たこはうおのめのように芯はなく、皮膚が硬く盛り上がるだけのため通常は痛みは感じません。
たこ、うおのめはどちらも足にもっともできやすいですが、その原因にはいろいろな要素があります。足の形状に対してサイズや形が合っていない靴を使用していることや、外反母趾などの足の変形やヒールの使用により足の特定の部分に圧迫や擦れの刺激が加わっていること、歩き方の癖、などが原因となります。
たこ、うおのめができやすい部位は足裏の土踏まず以外の地面に接触するところ(特に足の前方、足指側にできやすいです)や、足指などです。一方で、大人の土踏まずや、子どもの足裏にはたこやうおのめができる可能性は低く、特に子どもの足裏にできるたこやうおのめのような硬いできものはほとんどの場合はウイルス性イボ(尋常性疣贅:じんじょうせいゆうぜい)です。
また、たこは足だけでなく筆記具の使用や野球などのスポーツにより手の指、手のひらにできたり、正座を頻繁にする方の足首にできる場合もあり、俗にペンだこや座りだこなどと言われます。赤ちゃんが母乳やミルクを飲むときに上唇が引き込まれて摩擦がおこることでできる上唇の吸いだこもたこの一種です。
医療機関では分厚く硬くなった角質をメスやハサミなどで削ることができ、保険診療では月2回まで処置をすることができます。
自宅で行える治療としてサリチル酸の外用療法があります。サリチル酸は皮膚の角質を軟らかくして剥離させる作用があるため、たこやうおのめの硬い角質を正常な皮膚から切り離す効果が期待できます。具体的にはサリチル酸を有効成分とする軟膏(サリチル酸ワセリン軟膏)や貼り薬(スピール膏)を、硬い角質よりも少し小さめのサイズで塗ること、貼ることがポイントです。(周りの正常な皮膚にサリチル酸が作用することで過敏症状や赤みなどがあらわれる可能性があります)患部が軟らかくなってきたら、ピンセットや毛抜きなどで痛みを感じない程度にたこ、うおのめを剥がしたり削っていきます。入浴後に皮膚が軟らかくなった状態で行うと剥がしやすくなります。
削り処置やサリチル酸の外用療法を行い、症状が一時的に良くなっても数か月すると再び角質が分厚くなって再発する場合があります。これはたこ、うおのめの原因が荷重や擦れ、圧迫刺激などが慢性的にかかることによるため、それらの原因を取り除かなければしばしばたこ、うおのめを繰り返してしまいます。よくある原因としては靴のサイズや形状があります。ハイヒールや足を締めつけるような靴の場合は、足裏や足指の特定の部位に圧迫される刺激が加わります。大きすぎる靴も歩くときに靴の中で足が固定されずに動いてしまったり、脱げないように足に余分な力が加わってしまいます。また、硬い安全靴や革靴などもたこ、うおのめの原因となります。よって、足のサイズや形状に合う靴を選ぶことも大切な予防のひとつです。
<靴選びのポイントとして以下を参考にしてみてください>
・足のサイズは足長(足先から踵までの長さ)だけでなく、足囲(足の親指と小指のつけ根の位置でメジャーをぐるっと巻き付けた長さ)、甲周り(足の甲と土踏まずをメジャーでぐるっと巻き付けた長さ)も測ると、きつくない靴を選びやすくなります。
・つま先は5~10mmほどの余裕がある靴を選びましょう。
・ヒールの場合は土踏まずと靴のカーブが合っていて、ヒールも安定感があるものを選びましょう。
・足裏の特定の部位にたこ、うおのめができる場合は中敷き(インソール)を調節することで予防できる場合があります。
・靴紐は足の甲をしっかりと固定できるように結びましょう。緩いと歩くときに靴の中で足が前後に動いてしまい足指や足裏にとって刺激となってしまいます。
靴を調整する以外にもたこ、うおのめの部分に貼るパッドを活用する方法もあります。ウレタンフォームなどのクッション性がある素材を使用しているため、たこ、うおのめにかかる荷重、刺激を減らし、痛みの緩和や再発予防などの効果が期待できます。これらのパッドは市販品として購入することができます。
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