
酒さ(赤ら顔)
酒さ(赤ら顔)
目次
酒さはいわゆる“赤ら顔”ともいわれ、顔面の特に鼻、頬、額などに赤みやニキビのようなぽつぽつがあらわれる皮膚疾患です。赤みやぽつぽつといった見た目の症状だけでなく、ほてり感やヒリヒリ感などのいわゆる“敏感肌”のような症状もみられることが特徴です。30代以降に発症しやすいですが、10代から症状があらわれる場合もあり、女性に多い傾向があります。
酒さは人種差もあり、紫外線の影響を受けやすい色白のスキンタイプの人が多い欧米では頻度が高いとされています。しかし、近年日本でも酒さとして診断される患者様が増えてきており、潜在的な患者数は多いと考えられています。
保険診療でも2022年にようやく酒さに使用できる塗り薬(ロゼックスゲル:リンク)が処方できるようになりましたが、依然として酒さの治療選択肢は保険診療の範囲では十分とはいえず、自費診療も含めた治療を行うほうが治療効果も期待できると考えられます。
酒さの治療期間は数か月から年単位におよび、経過中に良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多いため、皮膚疾患の中でもマネージメントが難しい疾患ですが、長期的な目線で適切な治療を続けていくことが大切です。
当院では豊富な治療経験をもとに、酒さの診療にも力をいれています。治療選択肢も十分に有しておりますので、症状に悩まれている方はお気軽にご相談ください。
酒さの原因はまだ完全には解明されていませんが、原因は一つというわけではなく、複数の原因が重なって発症・悪化すると考えられています。
原因の一つとして遺伝的な背景、すなわち遺伝的に酒さになりやすい背景を持つ方がいる可能性があるとされています。欧米人のデータでは、紫外線への感受性に関わる遺伝子や、アレルギー性の炎症に関わる遺伝子において、酒さの方に共通した遺伝的変異があることが報告されています。
自然免疫とよばれる免疫の機能異常も酒さの原因に大きくかかわっています。自然免疫とは細菌などの微生物や、紫外線などの外界刺激を感知して防御機能を活性化するシステムです。通常は微生物や外界刺激に対して適切に機能していますが、酒さではこの自然免疫が皮膚において慢性的に過剰な反応をおこしており、皮膚の炎症(赤み、ぽつぽつ、敏感肌、ほてり感など)や、毛細血管の増殖(慢性的な赤み)が引き起こされると考えられています。
酒さでほとんどの方に見られる頬や鼻などの顔面の赤みの症状は、毛細血管という血管が増えて、かつそれぞれの血管が拡張していることが原因とされています。これらは紫外線や自然免疫の機能異常などが影響して、血管を増やすシグナルが過剰となっていること、毛細血管の拡張に関わる神経が異常となっていることなどが背景にあると考えられています。
毛包虫(ニキビダニ)とよばれるダニの一種も酒さの炎症にかかわっていると考えられています。毛包虫は正常な人の毛穴(主に顔から首にかけての脂腺性毛包)に寄生しており、人の皮膚に生息する他の細菌などの微生物と一緒に、免疫反応の調節の役割を果たしています。しかし、酒さの患者様では毛包虫が過剰に増殖していることが多く、毛包虫が過剰増殖することで自然免疫の機能異常が引き起こされて、皮膚の炎症に繋がることがわかっています。
このように酒さは遺伝的素因、免疫機能の異常、血管の異常、その他にも様々な原因がかかわっていることが分かってきています。それにより、適切な治療選択肢についての知見も少しずつ増えてきています。
酒さの原因については「酒さの原因は?」でも述べましたが、日常生活の中にも酒さを発症させるきっかけとなったり、症状を悪化させる要素は多くあります。
酒さの発症・悪化因子については下記のようなものがあることがわかっています。
外的な要因 | 内的な要因 |
---|---|
気温の急な変化・寒暖差 | ストレス |
紫外線、日光へのばく露 | 月経周期 |
激しい運動 | |
花粉 | |
アルコールの摂取 | |
喫煙 | |
合わない化粧品の使用 | |
熱い食べ物、香辛料の効いた辛い食べ物 |
これらの要素の一部は血管を拡張させるような刺激となっていて、酒さの症状悪化の原因として知られています。その他にもステロイド軟膏やプロトピック軟膏(アトピー性皮膚炎などで使用される塗り薬です)を長期間使用することで、酒さ様皮膚炎という酒さに似た病態を引き起こすことがあったり、保湿剤としてよく使用されるヒルドイドも血行を促進する働きがあるため、酒さの赤みなどの症状を悪化させる原因となる場合があります。
そのため、上記のような要因に日常的にばく露していないかを見直して、それが悪化の原因となっていそうであれば“可能な限り避ける対策をする”ことも大切な治療の一つとなります。
特に紫外線、日光はわずかなばく露であってもほてり感や赤みが引き起こされる場合があり、悪化要因となっている患者様も多いため、基本的には季節を問わず通念を通した対策が必要となります。紫外線対策の基本は日焼け止めですが、日焼け止めにも様々な種類、選ぶポイントがあります。患者様によっては日焼け止め自体の成分が刺激となって酒さを悪化させているケースもあるため、ご自身に合った日焼け止めを選ぶことが大切になります。当院では酒さの患者様でも使用しやすい日焼け止めをご案内しており、一部は院内でも購入することができますので、お気軽にご相談ください。
酒さは鼻、頬、眉間など顔の中心部に赤みやぽつぽつなどの発疹がみられ、顔以外には症状はみられません。酒さの症状には次のようなものがあります。
赤い発疹、赤みが薄くならずに慢性的に続く
肉眼的に皮膚に線状に分布する細かい血管がみえる
悪化因子などにより一時的に赤みが増す
ニキビのような赤いぽつぽつ、膿をもったぽつぽつ
毛穴の開きと毛穴に一致した赤み
皮膚がごわごわになり、変形しながら大きくなる。鼻にみられることが多く、鼻瘤(びりゅう)とよばれる
眼の粘膜やまぶたの皮膚に炎症がおこり、充血、不快感、乾燥、痒みなどがあらわれる
上記の症状をもとに酒さは主に4つの病型に分類されています。
顔を中心とした赤み、毛細血管の拡張が主な症状で、ほてり感や敏感肌のような自覚症状も多くみられます。上記の症状のうち、持続性紅斑、毛細血管拡張、一過性潮紅などが該当します。
毛穴(脂腺性毛包)を中心としたぽつぽつが主な症状です。上記の症状のうち丘疹・膿疱が該当し、ときに持続性紅斑、毛細血管拡張、一過性潮紅、鼻瘤などもみられます。ダーモスコープとよばれる特殊な拡大鏡を用いて皮膚を観察すると毛穴の開大や、毛穴を取り囲むような赤みがみられます。また、丘疹・膿疱型酒さでは毛包虫(ニキビダニ)の増殖がみられる頻度が高く、ダーモスコープでも毛包虫の存在を示唆する所見がみられる場合があります。
腫瘤型酒さは皮膚がごわごわ、でこぼこと分厚くなる変化がおこり、腫瘤や結節とよばれるしこりが出現することもあります。鼻瘤(びりゅう)といって鼻に症状がみられることが最も多く、紅斑毛細血管拡張型や丘疹膿疱型にみられるような赤み、ぽつぽつといった症状も伴うことが多いです。腫瘤型酒さは日本人では少ない病型とされています。
眼型酒さはまぶたや眼の周りの皮膚の赤み、浮腫、毛細血管拡張がみられたり、結膜の炎症、充血がみられます。そのため、眼の乾燥、ひりひり感、異物感などを自覚することが多いです。眼型酒さのおよそ半数の方では皮膚症状が眼の病変よりも先にあらわれるとされています。
このように、酒さは主に4つの病型に分類されていますが、ある病型から別の病型に移行したり、複数の病型の症状が同時にみられたりと、酒さの患者様の症状にはさまざまなバリエーションがあります。そのため、酒さの治療においては画一的な治療ではなく、病型や症状に応じた適切な治療を選択することが大切になります。
酒さの治療には外用薬、内服薬、レーザーなどさまざまな治療選択肢があります。そして、酒さの患者様では乾燥も症状を悪化させる原因となることがわかっているため、敏感肌の方でも使用できるような適切な保湿・スキンケアを行うことも大切な治療となります。
加えて、酒さを悪化させる要因は日常生活の中にもさまざまなものがあるため、それらを可能な限り避けることも大事になります。(酒さの悪化因子は?もご参照ください)
ここでは当院でできる酒さの治療選択肢をご紹介します。
酒さに対して治療効果がある塗り薬は複数ありますが、日本において保険適応で使用できる薬剤はまだ1つのみ(ロゼックスゲル)となっています。しかし、ロゼックスゲル以外の薬剤も酒さに対して治療効果が認められていて、海外のガイドラインでも推奨、治療薬としても承認されています。しかし、日本における酒さの治療は海外諸国と比較して遅れている現状もあり、現時点では自費診療での使用となっています。当院では自費診療も含めて酒さに使用できる外用薬の選択肢が複数あり、一人一人の症状・経過に応じて使い分けることが可能ですので、お気軽にご相談ください。
ロゼックスゲルはメトロニダゾールという抗菌薬を有効成分とする塗り薬です。2022年に日本でも保険収載でされて、保険適用で使用することができるようになりました。特にぽつぽつがメインの症状である丘疹膿疱型酒さにおいて12週間の使用で有効性が確認されています。日本皮膚科学会が作成しているガイドラインでも、丘疹膿疱型酒さには推奨度A(強く推奨される)となっています。
ロゼックスゲルが作用する仕組みとしては、抗炎症作用(酒さの病変で増加している活性酸素を抑えることで炎症を軽減)、抗菌作用(酒さの悪化原因の一つである毛包虫などの微生物の増殖を抑える)、免疫抑制作用(免疫細胞の働きを抑える)などの作用によって酒さの症状を改善させるとされています。
ロゼックスゲルの用法は1日2回患部に塗布します。副作用としてしばしば接触皮膚炎(かぶれ)、乾燥、痒み、つっぱり感などがあらわれるため、そういった皮膚症状がみられた際は、使用量・使用回数を減らすことで使用を継続できる場合があります。それでも副作用が続く場合は一時的に使用を中止して、医師に相談をするようにしてください。
また、ロゼックスゲルの成分が胎盤を通過して胎児に移行することが報告されているため、妊娠3か月以内の方には使用できません。また、妊娠3か月を過ぎた方であっても治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用することとされています。
そして、ロゼックスゲルは母乳中にも移行することが報告されているため、授乳中の使用は控えることが望ましいとされています。どうしても使用する場合は授乳しないことが望ましいです。
イベルメクチンはもともと疥癬(かいせん)などの寄生虫の駆虫薬として開発された成分ですが、抗炎症作用もあることがわかっています。酒さに対しては悪化要因の一つである毛包虫(ニキビダニ)を駆虫作用により減らす効果があり、また、抗炎症作用により酒さの炎症も抑える働きが期待できます。日本では保険適応となっていないため、自費診療での使用となりますが、米国FDA(食品医薬品局)では酒さの治療薬として承認されており、海外の治療ガイドラインでもぽつぽつが主な症状である丘疹膿疱型酒さへの使用が推奨されています。
用法は1日1回患部(赤みやぽつぽつがある部位)に塗布します。基本的には夜の洗顔、スキンケアの最後に使用します。
イベルメクチンクリームはメトロニダゾール(ロゼックスゲルの有効成分)の外用よりも治療効果が優れていたという報告があり、また、酒さで使用される他の外用薬(ロゼックスゲル、アゼライン酸)と比べて刺激症状、かぶれが起こりにくく、もっとも使いやすいといった特徴があります。ただし、まれに皮膚炎、痒み、刺激感などの副作用があらわれることがあります。そういった皮膚症状がみられた際は、使用量・使用回数を減らすことで使用を継続できる場合があります。使用量・使用回数を減らしても副作用が続く場合は一時的に使用を中止して、医師に相談をするようにしてください。
イベルメクチンクリームは妊娠中、授乳中の方の使用は基本的に控えることが望ましいとされています
アゼライン酸は海外では約30年前からニキビや酒さの治療薬として使用されている、小麦やライ麦などの穀類に含まれる成分です。アゼライン酸は抗炎症作用、抗菌作用、皮脂の分泌抑制作用、角化の抑制作用(毛穴つまりを改善)などさまざまな働きがあります。アゼライン酸は酒さに対しては治療濃度としては15~20%が使用されますが、丘疹膿疱型酒さに対してメトロニダゾール外用薬(ロゼックスゲルの有効成分)と比較して効果が同等であったとする報告、アゼライン酸のほうが治療効果が優れていたとする報告があります。
アゼライン酸もイベルメクチンクリームと同様に、海外のガイドラインにおいて酒さへの使用が推奨されていますが、日本では処方薬としてではなく化粧品として販売されており、当院でも複数のアゼライン酸の濃度で外用薬として販売しています。
アゼライン酸の用法は1日2回患部に塗布をします。使用開始から1週間ほどはピリピリとした刺激感を感じる方がいらっしゃいますが、その後は慣れていくことが多いです。皮膚が乾燥していると刺激を感じやすいため、十分に保湿を行ってから塗布することが推奨されます。また、最初のうちは1日1回を狭い範囲に塗布し、慣れてきたら1日2回を患部全体に塗布するといったように少しずつ外用方法を調節していくこともお勧めです。
さらに、アゼライン酸は妊娠中、授乳中の方でも安全に使用できるという点が他の外用薬(ロゼックスゲル、イベルメクチンクリーム)とは異なる特徴です。
当院ではアゼライン酸の濃度が20%の「AZAクリア」や、アゼライン酸の濃度が10%の赤みカバー化粧品である「グラファ スキンケアエマルジョン AZ」を販売しています。
酒さに使用される飲み薬には主に2種類あります。1つはビブラマイシンという抗生剤、もう一つは重症のニキビ治療に用いられるイソトレチノインです。いずれも海外のガイドラインで推奨されており、症状や経過に応じて使い分けることで、酒さの症状を改善させる効果が期待できます。
テトラサイクリン系のドキシサイクリンを有効成分とする内服抗菌薬です。ビブラマイシンには抗菌作用だけでなく抗炎症作用もあることが特徴で、この抗炎症作用が酒さに対して効果的であるとされています。
酒さの病型のうち、ぽつぽつが主な症状である丘疹膿疱型酒さに対して最も治療効果が期待でき、毛穴(脂腺性毛包)におきている炎症を抑えることでぽつぽつを改善させる働きがあります。通常は2週間から3か月ほどの期間内服を行い、症状の経過をみることが多いです。
ビブラマイシンの用法は1日1回100mgあるいは50mgを1日2回を内服します。副作用として腹痛、悪心、嘔吐、食思不振などの消化器症状や頭痛が出る場合があります。その他に光線過敏症といって紫外線に長時間あたることで皮膚炎をおこす可能性がありますのでビブラマイシン内服中は遮光や日焼け止めを使用するようにしましょう。副作用と思われる症状があらわれた場合は医師にご相談ください。
また、ビブラマイシンの飲み合わせにはいくつか注意する点があります。カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄剤などと同時に服用することで、ビブラマイシンの吸収が低下し、効果が弱くなってしまいます。それらを含む薬剤やサプリとは同時には服用せずに、2時間以上あけるなどタイミングをずらすようにしましょう。また、ピルなどの経口避妊薬と同時に服用することで経口避妊薬の効果が弱まる可能性があります。そのため、現在服用中の場合は医師までご相談ください。
妊娠中の方、妊娠している可能性のある方、授乳中の方の場合もビブラマイシンの内服は控えることが望ましいとされています。
イソトレチノインはビタミンA誘導体であるレチノイドを主成分とする飲み薬です。ビタミンAよりもはるかに高い生理活性があり、重症のニキビに対して非常に高い治療効果をもつ薬剤として主に海外で使用されています。酒さに対してもイソトレチノインが他の治療選択肢よりも有効性が高いとする報告が複数あり、海外のガイドラインでも推奨されています。
イソトレチノインには複数の作用があり、皮脂腺を縮小して皮脂の分泌を減らす作用、抗炎症作用、細胞の分裂を制御して皮膚のターンオーバーを正常化させる作用、免疫調整作用などがあります。これらの作用は酒さの症状を改善させる働きがあり、イソトレチノインは特に丘疹膿疱型酒さに効果があるとされています。早い場合には飲み始めてから1-2か月ほどでぽつぽつは引いてきますが、通常でも4か月前後の内服によりある程度の効果が得られることが多いです。
その他には、酒さの患者様でみられる乾燥性脂性肌(混合肌)では、皮脂が固まりやすく、毛穴の皮膚の細胞増殖が亢進して角層が分厚くなることで角栓の形成、毛穴の開き、皮膚のごわつき、ざらざら感がみられるようになります。そういった乾燥性脂性肌の酒さの患者様においてもイソトレチノインの治療効果が期待できると考えられます。
また、酒さのタイプの一つである鼻瘤(びりゅう)にもイソトレチノインが有効である場合があります。鼻瘤とは鼻を中心とした酒さのタイプの一つであり、症状としては鼻の毛穴の広がりと皮膚の凹凸が目立つことによるごわつき、毛穴周囲や皮膚全体の赤みなどが特徴的です。鼻瘤では皮脂腺の過剰な働きや炎症が原因となっていることがありますので、イソトレチノインによる皮脂腺縮小効果、ターンオーバーの正常化、抗炎症作用が有効とされています。通常はイソトレチノインの内服を開始してから少しずつ皮膚の質感が改善されていき、一定の効果がみられるまでには個人差はありますが4-6カ月前後は内服することが多いです。
酒さに対して治療効果の高いイソトレチノインですが、内服するにあたり注意しなければならない点が複数あります。まず、稀に肝機能障害や脂質異常などが起こりうるため、定期的に血液検査をする必要があります。また、妊娠中の方がイソトレチノインを内服することで、胎児の奇形、流産、早産、死産などのリスクが高くなることが分かっています。そのため、イソトレチノインを服用している期間中とその前後1か月間は必ず避妊が必要となります。また、イソトレチノインは母乳中に移行するため、イソトレチノインを服用している期間中とその前後1か月間は授乳しないようにしてください。
Vビームは血液中のヘモグロビンに強く反応する波長595nmのレーザー光が照射できる医療用レーザー装置です。発生した熱エネルギーにより血管が破壊、閉塞されることで「赤み」への治療効果が高く、酒さによる赤みの治療にも有効です。海外のガイドラインでも、特に顔を中心とした赤み、毛細血管の拡張が主な症状である紅斑血管拡張型酒さに対しての使用が推奨されています。
一般的な治療回数は酒さに対しては5~10回ほどとされていますが、症状の程度やレーザーへの反応性により個人差があります。しかし、ほとんどのケースでは回数を重ねることにより少しずつ赤みが軽減していき、同時にほてり感などの自覚症状の改善もみられる場合も多いです。
Vビームは他のレーザーと異なり、設定の自由度が高い分、扱いが難しいタイプのレーザーとされていますが、当院では豊富な酒さの患者様への照射経験をもとに一人一人の症状に合わせて設定を変えて照射することで、良い治療効果を出せるよう努めています。
一方で、Vビームには照射後の赤み、腫れ、内出血といったダウンタイムが出る可能性もあります。こちらについても患者様ごとにダウンタイムへの許容度は異なり、ダウンタイムが多少出る可能性があっても治療効果を優先したい方、あるいはダウンタイムは最小限で治療をしたい方(ダウンタイムがなくとも治療効果がないわけではありません)など、さまざまおられます。そのため、ダウンタイムの程度についても照射前に確認をしながら治療を行うようにしています。
過去の報告でも酒さは複数の治療を組み合わせて行うほうが治療効果が高いことが示されており、なかでもVビームは酒さによる赤みを軽減させる治療法としては有効性の高い選択肢の一つです。
酒さの治療の一つとして大切なものに“スキンケア”があります。酒さの患者様のお顔の皮膚はアトピー性皮膚炎と同様に角層の水分量が少なく、また水分蒸散量も多い敏感肌であることがわかっています。肌質としては乾燥肌あるいは乾燥性脂性肌(混合肌)に該当し、いずれも皮膚の乾燥により皮膚バリア機能が低下しているため、酒さの患者様では特にご自身の肌に合う保湿のスキンケアが必要となります。当院では酒さの患者様でも使用しやすいスキンケア用品を複数ご案内することが可能で、一部は院内でご購入いただけますので、お気軽にご相談ください。
現状酒さに対して保険適用となっている薬剤はロゼックスゲルのみとなります。一方で、本ページでご紹介しているロゼックスゲル以外のいずれの薬剤・レーザー治療も、酒さに対して治療効果が認められていて、海外のガイドラインでも推奨の治療としても承認されています。しかし、日本における酒さの治療は海外諸国と比較して遅れている現状もあり、現時点では自費診療での使用となっています。
イベルメクチンクリーム 30g/本 | 2,980円 |
---|---|
AZAクリア 15g/本 (アゼライン酸20%配合クリーム) |
1,980円 |
グラファ スキンケアエマルジョン AZ 12g/本 (アゼライン酸10%配合 赤みカバー化粧品) |
3,850円 |
イソトレチノイン 10mg 30日分 | 9,900円 |
イソトレチノイン 20mg 30日分 | 13,200円 |
照射部位・対象疾患 | 料金(税込み) |
---|---|
全顔 | 27,500円 |
両頬、鼻、顎 | 19,800円 |
両頬 | 16,500円 |
鼻 | 9,900円 |
顎 | 12,100円 |
額 | 13,200円 |
未承認医薬品等 | イベルメクチンクリームは医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医薬品です。 |
入手経路等 | 当院で使用しているイベルメクチンクリームは、インドのアジャンタファーマ社により製造されたものを当院で個人輸入しております。 |
国内の承認医薬品の有無 | 酒さの治療薬としてメトロニダゾール(ロゼックスゲル)が国内承認されています。 |
諸外国における安全性などに係る情報 | 米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。 |
未承認医薬品等 | アゼライン酸は医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医薬品です。 |
入手経路等 | アゼライン酸は国内の医薬品卸業者より購入しています。 |
国内の承認医薬品の有無 | 国内で同程度の効能・効果で承認されている国内承認医薬品薬剤はありません。 |
諸外国における安全性などに係る情報 | 米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。 |
未承認医薬品等 | イソトレチノインは医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。 |
入手経路等 | 当院医師の判断のもと、インドのCipla社から個人輸入しています。 |
国内の承認医薬品の有無 | 国内で同程度の効能・効果で承認されている国内承認医薬品薬剤はありません。 |
諸外国における安全性などに係る情報 | 米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。胎児の催奇形性、鬱、精神病などの精神疾患の副作用も報告されています。 |
未承認医薬品等 | VビームⅡは医薬品医療機器等法において、その他の目皮膚良性血管病変治療について承認されていますが、その他の目的の使用については国内で承認されていません。 |
入手経路等 | 当院では医師の判断の下、国内の医薬品卸業者より国内の承認機器を仕入れています。 |
国内の承認医薬品の有無 | 同一の成分・性能を有する国内承認医薬品等はありません。 |
諸外国における安全性などに係る情報 | 米国FDAにて承認されています。 |
TOP