
老人性血管腫
老人性血管腫
老人性血管腫は毛細血管という細い血管が増殖してできる良性のできもので、医学的には血管腫とよばれる腫瘍の一種です。一見すると赤いほくろのように見えることから赤ほくろと呼ばれたり、チェリースポット、ルビースポットと呼ばれることもあります。
病名には老人性という頭文字がついていますが、実際には20代、30代からみられるようになり、加齢にともなって数が増えていくことが多いです。
何らかの原因で反応性に皮膚の浅い層で毛細血管が増えることで老人性血管腫ができますが、はっきりとした原因はわかっていません。加齢や紫外線、遺伝子などが影響していると考えられています。
大きさは1~3mm程度で、平坦かわずかに盛り上がった赤いできものとして顔や体幹、腕などの上半身によくみられます。毛細血管が増殖してできるため、鮮やかな赤い色調が特徴的です。通常は痒みや痛みなどの自覚症状はありませんが、患部が擦れたり引っかいたりする刺激により出血しやすくなる場合があります。
肉眼的にみて評価する視診や、ダーモスコピーを用いるとより細かい情報が得られるためしばしば皮膚科診察においては使用されます。
ダーモスコピーで観察したときに悪性腫瘍をはじめとした他の疾患の可能性がある場合は、組織を採取(皮膚生検という検査です)し、病理検査を行って診断をつけることもあります。
老人性血管腫は良性のできものであり、際限なく大きくなっていくことは通常ありませんので、経過観察のみでも問題はありません。切除を希望される場合は、当院ではVビームというレーザー機器やサージトロンというラジオ波メスの機器を用いて治療しています。
V(ブイ)ビームは赤みに対して用いられるレーザー機器です。血管の中には赤血球という物質が流れていますが、Vビームはこの赤血球に最も反応しやすい波長の光をあてることで熱を生じさせ、熱エネルギーによって血管が破壊されます。一方で、血管腫以外の正常な組織へはレーザー光は吸収されないため病変以外へのダメージは少なく、安全性の高い治療でもあります。よって、毛細血管が増えることでできる老人性血管腫に対してもVビームはよい治療選択肢となります。通常は1回の照射、施術により治療終了となることが多いですが、病変の大きさや形状、患者様の体質によっては、複数回の照射、施術が必要になる可能性もあります。
比較的大きいサイズの老人性血管腫や、Vビームによる施術が難しい場合にラジオ波メスによる切除が選択肢となってきます。
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