
脂腺増殖症
脂腺増殖症
脂腺増殖症(しせんぞうしょくしょう)は毛穴の中にある皮脂腺という皮脂を作る組織が過剰に増えることでできる、白色~黄色のできものです。中年以降の男性の顔面にみられやすいことが特徴で、一見するとニキビのように見えますが、良性の腫瘍であるため時間がたっても自然に治ることはなく、そのままの大きさで残るか、少しずつ大きくなる場合もあります。
脂腺増殖症は毛穴の中にある皮脂腺が増殖することで発症します。皮脂腺が増える原因として性ホルモンのバランスが変化することや紫外線による刺激が関係しているとされています。また、中年以降に多く見られることから加齢により脂腺のターンオーバーが遅れることも要因の一つと考えられています。一方で、20~30代の若い方でも脂性肌(オイリー肌)が影響して発症する場合があります。その他、ステロイド剤の長期間の使用、免疫抑制剤の使用により脂腺増殖症が発症しやすいことがわかっています。
脂腺増殖症は皮脂腺が豊富にみられるおでこや鼻周りなどのTゾーンを中心にみられやすいという特徴があります。見た目は白色~黄色の数mmほどのできもので、よく見ると中央に少しくぼみがあることも特徴です。一つだけしかみられないこともあれば、多発することもあります。皮脂腺が増殖しているだけのため、ニキビのように痛みや膿が出ることはなく、痒くなることも通常はありません。ただし、皮脂腺の増殖が続くことで少しずつ大きくなる可能性はあります。
脂腺増殖症はダーモスコピーという特殊な拡大鏡を用いて観察することで、肉眼で見るよりも多くの情報を得ることができ、正確に診断することができます。典型的な脂腺増殖症であれば診断は難しくはありませんが、皮膚がんが疑われる場合や、脂腺増殖症以外の疾患が疑われて診断がはっきりしない場合などは、状況に応じて皮膚生検(発疹の一部または全部を切除して組織の検査を行うこと)を行う場合があります。
脂腺増殖症は良性の腫瘍であり、悪性化することはありませんので必ず治療が必要な疾患ではありません。しかし時間経過によって少しずつ大きくなったり、見た目が気になる場合などには治療をすることもできます。通常は外科的に切除する方法や、炭酸ガスレーザーで除去する方法などが選択肢としてあります。当院では高周波メスによる切除あるいは多発性の脂腺増殖症の場合にはイソトレチノインの内服による治療も行っています。
ラジオ波という一般的な電気メスの約10倍にあたる4.0MHzの高周波数帯を採用しているメスを使用します。組織に対する集中性が高いため、過剰な熱のダメージを抑えて組織損傷を最小限にして脂腺増殖症の組織を蒸発させて除去する方法です。患部に局所麻酔をした後に高周波メスを用いて病変を除去します。通常は縫合はせずに終了するため、抜糸をする必要がありません。
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