
アレルギー
アレルギー
人の体では通常外部から侵入してきた異物(アレルゲン)に対しては、痒みを引き起こして皮膚を掻いたり、くしゃみや鼻水が出ることによって異物を体外に排出する反応があり、これをアレルギー反応と言います。
アレルギー反応は厳密にはⅠ型からⅤ型までの5種類ありますが、皆様がよくイメージするアレルギー(アレルギー性鼻炎、結膜炎、喘息、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎など)はⅠ型アレルギーに分類されます。
Ⅰ型アレルギーの反応を起こす主な物質として、IgE(アイジーイー)抗体というものがあります。IgE抗体は、抗体という名前からも分かる通り異物と戦うための免疫物質(免疫グロブリンと言います)ですが、Ⅰ型アレルギーに関わるIgE抗体が反応する異物はウイルスや細菌ではなく、花粉や食べ物、ダニ、ハウスダストなどがメインとなります。
よって、これらの異物に対してアレルギーを獲得している場合、アレルゲンにばく露されることで蕁麻疹や鼻炎、結膜炎などの症状が誘発されることになるのです。
IgE抗体については、血液検査を行うことで
①総IgE抗体値(血液中のIgE抗体の総量=非特異的IgE)
②特異的IgE抗体値(血液中のアレルゲン毎に特異的なIgE抗体量)
を調べることができます。
血液中のIgE抗体の総量をみる検査です。アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などで高値となります。アトピー素因がある場合、この非特定的IgE抗体が高くなる傾向があります。
推定されるアレルゲンに対する特異的なIgE抗体を調べる検査です。現在200種類以上の物質について検査が可能で、保険適用上は13項目を上限として検査します。結果はクラス0~クラス6までの7段階で表示されます。*クラスの数字が高いほうが特異的IgE抗体の量が多いことを示していますが、この数値が高いからと言って必ずしも臨床症状と相関しない点には注意が必要で、クラス1や2でもアレルギー症状が強く出る場合もあります。
また、当院ではアレルギー症状の原因アレルゲンとして多い39項目がセットとなっているVIEW39検査も実施することができます。
<注意点>
判定と症状が一致しないことがあります
血液検査である物質Aの特異的IgE抗体が陽性であっても、物質Aにばく露してもアレルギー症状がない場合もあります。これは、Ⅰ型アレルギーの症状が起こる過程にはIgE抗体だけでなく、肥満細胞、好酸球、好塩基球、ヒスタミンなどの様々な細胞や物質が関与していることや、ばく露するアレルゲンの量や体調にもよることが原因と考えられています。
よって、それらの条件が揃ったときにⅠ型アレルギー症状が誘発されますので、特異的IgE抗体が陽性であっても、実際にアレルギー症状が出ない場合があります。
そして特異的IgE抗体検査は食物アレルギーを調べる際にも用いられますが、重要なポイントとして、仮にBという食物の特異的IgE抗体が陽性となっても、普段からBを問題なく摂取できている(=アレルギー症状が誘発されない)のであれば、食物アレルギーの確定診断にはならないということです。すなわち、普段から摂取できている食物が特定的IgE抗体検査で陽性となっても、すぐに食物制限が必要ということではないということです。
中には「検査結果で陽性となった食物を控えてください」と指導を受けたり、説明がないために患者様ご自身の判断で制限をしてしまっているケースもあるようです。
食物に関する特異的IgE抗体検査が陽性であっても、普段問題なく摂取できているようであれば本当に制限が必要となるケースは多くはありませんので、検査結果が出ましたら丁寧に説明をさせていただきます。
このように、(非)特異的IgE抗体検査は血液検査のみで調べられるため簡便で、ある程度の参考にはなる一方で、信頼性という意味では劣る部分もあります。
そのため、病歴などからさらに詳しい食物アレルギー(食物以外も含む)の検査が必要と考えられる場合は、より精度の高い検査が可能な医療機関にご紹介もしております。
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